彼はいつも、人々が相続したり浜辺で見つけたりした古い宝石や時計を見るのが好きだった。だから、エミが拾ってきた時計を持って店に入ってきたとき、彼は興奮を覚えた。今回はどんな面白いものを持ってきたのだろう?以前、彼女はヴィンテージのイヤリングやブレスレットのパーツなど、あらゆる種類の古いジュエリーを見せてくれた。そのひとつひとつが、彼にとっていつもワクワクするパズルだった。
エミから贈られた時計を見ていると、風化した彼の顔から懐かしさが溢れてきた。イタリアやフランスの名ジュエラーに師事し、創作意欲を磨いていた頃のことを思い出したのだ。それ以来、彼はミラノの洗練された雰囲気やパリの華やかさを捨て、海辺のシンプルな生活に身を置いていた。しかし、トレンドやファッションが刻々と変化する数十年間にもかかわらず、輝きを放つ宝石に対する彼の鋭い目と、作品に歴史を与えることへの情熱は、何年経っても衰えることはなかった。