ドアを閉めた瞬間、隣のキャビンから一人の男が出てきたのに気づいた。見知らぬ男は背が高く、顔色はオリーブ色で、カーキ色の無地のズボンにシンプルな綿のTシャツ、ビーチサンダルという出で立ちだった。小さなバッグを肩からさりげなくかけており、同じクルーズ客のなかでもひときわ場違いな服装だった。
外見で判断する人ではないが、ジェイソンは漠然とした違和感を覚えた。我慢できず、”こんにちは、お隣にお泊りですか?”と丁寧に声をかけた。男はその質問に体を強張らせ、少し間を置いてから、無愛想でアクセントの強い “Yes “と答えた。