リアムは涙でかすんだ目でそれを見て、息をのんだ。「イーサン…彼らはあきらめたんだ!一隻が引き返した!」。リーアムの胸に一瞬、希望が灯った。運が向いてきたのかもしれない。結局、海賊は無敵ではなかったのかもしれない。そのとき、足下のエンジンが激しく揺れた。うなるような音が静寂につまった。
船は大きく揺れ、勢いに任せて数メートル進むと、再びあてもなく漂い始めた。イーサンの手がスロットルを叩き、無駄にひねった。「だめだ、だめだ、だめだ……」。リアムの声がひび割れた。「だめだ、だめだ…」リアムの声がひびいた。イーサンは答えなかった。答える必要はなかった。甲板を水しぶきが濡らしながら、2隻目の海賊船が横付けしてきた。