ヘラジカが病院に侵入、看護師はその角で見たものに涙。

うなり声はやわらかく、断続的な鳴き声に静まったが、空気中の緊張感は濃厚なままだった。ジュリーは数歩後ろに立ち、神経を安定させるために両手を拳に握りしめた。

森が二人の周囲に迫ってくるようで、葉のざわめきや遠くの枝のひび割れが、自分たちがいかに無防備であるかを思い知らされた。自分たちをここまで導いてくれたヘラジカでさえ、その巨体が暗い森にシルエットとなって映るのを遠くから眺めていた。