ヘラジカが病院に侵入、看護師はその角で見たものに涙。

しかし、そのとき、まるでタイルの上で皿が割れるように静寂が破られた。コーヒーは机の上に忘れてきた。ロビー中の視線が入り口に集中し、そこに巨大な人影が立っているのが見えたからだ。

ドアのすぐ内側に立ち、毛皮からかすかに湯気を上げているのは、雄のヘラジカだった。その角は大きく伸び、ドア枠の上端をこすりそうなほどで、ビニールの切れ端や破れた袋、漁網の破片のようなものが絡みついていた。