スポッターが指示を叫び、尾が水面を割ったり、白い水しぶきを上げるところを指差した。「右舷!200メートル!」。追跡は必死のものとなった。網が準備され、糸が巻かれ、魚が木箱ごと捨てられた。それでもクジラは散らばることも攻撃することもなかった。ただ隊形を維持した。
ナサニエルは、クジラの動きが計画的で慎重なものであることを感じた。乱気流が外側に押し寄せると、クジラの壁が強く押され、流れが落ち着くとまた緩んだ。クジラが自分を揺れから守り、獲物というよりも壊れやすいもののように扱っていることに、彼は不思議に思った。